『天上天下』は、絵がうますぎて読む手が止まる格闘漫画です
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※大きなネタバレはありません。
まず絵の話をさせてください
『天上天下』は、大暮維人先生が「ウルトラジャンプ」で連載していた格闘漫画です。
ストーリーの説明より先に、どうしても絵の話をさせてください。うまいです。うますぎます。
拳の軌道、筋肉のしなり、殴られた瞬間に飛び散る破片。そういうものが一コマずつ全部描き込まれていて、どのページも一枚絵みたいになってるんですよ。おかげで読むスピードが全然上がりません。話の続きは気になる。でも絵を見ていたい。この葛藤とずっと戦うことになります。
漫画は止まった絵なので、格闘の「速さ」を見せるのはそもそも難しいはずです。なのにこの作品は、構図と描き込みの量で、速さと重さを両方とも感じさせてきます。ちょっと意味がわからないレベルです。
不良漫画だと思って読むと、だまされます
舞台は、武道系の部活が力で争っている統道学園です。転入してきた凪宗一郎たちは、弱小の「柔剣部」に入ります。そして、学園を牛耳る「執行部」とやり合うことになります。
ここまで聞くと、よくある学園バトルものですよね。序盤は実際そんな感じで進みます。
ところが、執行部を率いる人物のことや、柔剣部の過去が明らかになってくると、話の軸がだんだん「前の世代から続いている因縁」へずれていきます。今ぶつかっている連中の裏に、昔の誰かが下した選択がある。
それがわかってから序盤を読み返すと、何気ない場面の見え方がまるで変わります。二周目のほうがおもろい漫画って、そんなに多くないと思うんですよね。
技に理屈があるのが好きです
作中では、気の使い方や武術の型に、作品なりの理屈がつけられています。ただの殴り合いではなく、「なんでこの技が効くのか」まで考えながら読める。理屈っぽい格闘漫画が好きな人には、たまらないと思います。
苦手な人がいそうなところも書いておきます
流血や激しい暴力の描写はかなり多いです。それから、セクシーな描写もそれなりにあります。どちらかが苦手な人は、少し覚悟して読んだほうがいいです。
1話ごとにすっきり終わるタイプでもないので、まとめて読める時間があるときに手に取るのがおすすめです。
絵で殴られて、過去の因縁で読まされる。『天上天下』を一言で言うと、そんな作品です。